がんと向き合い生きていく

がん患者が生きがいを感じながら働けているか…繰り返し調査が必要

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 しかし、個々の会社、患者個人個人で、実際の状況はずいぶん違っているように思います。会社や上司から理解され、問題なく治療や定期診察が行われ、仕事が充実している方もいれば、逆にとても苦労されている方もおられます。

 日本は、小規模の会社が多い国です。4年前、乳がんの手術をされた女性が定期検診のため休みを取ろうとしたとき、理不尽にも、上司から「採用面接のときにどうしてがんのことを言わなかったのか!」と怒鳴られたというお話を聞きました。

 その女性はとても優秀な方でしたが、結局、会社を辞めてしまいました。間もなく同僚の方も辞めてしまい、会社としても大きな損失だったと思います。

 がん拠点病院には、相談支援センターや相談室があります。どなたでもいろいろ相談できます。

 患者が生きがいを感じながら働けているか、上司の理解度など、国や都道府県は繰り返し調査することが必要だと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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