認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

飲酒量と脳委縮には相関関係が…飲むほどに認知症リスクは増す

写真はイメージ(C)PIXTA

■断酒・節酒で予防

 アルコールはさまざまな病気に関係しており、脳血管障害、頭部外傷、糖尿病などを引き起こします。これらも認知症へとつながる病気ですが、認知機能低下の原因について検査し、アルコール以外に原因がなければ、アルコールの大量飲酒が原因と考えられるアルコール性認知症(アルコール性の健忘症)とされます(ただ、多くは微小な血管の障害を伴っていることから、血管性認知症が病態の本質であるとの神経病理学研究者の意見もあります)。

 アルコール性認知症であれば、つまりアルコール以外に認知機能低下の原因がない場合は、断酒によって認知機能を取り戻すことが可能です。

 私の患者さんでも、毎日飲んでいたワインをやめ、生活習慣を改めたところ、かつての「健康な脳」に戻り、仕事に復帰された人がいます。私のところを受診する前は若年性アルツハイマー病と診断され、「5年後には介護」と宣告されるほど、認知機能が低下していた人が、です。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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