第一人者が教える 認知症のすべて

オンラインで認知症の予防情報を発信 既存の対策とどう違う?

オンライン健脳カフェなら好きな時に好きな場所で予防のための活動ができる

■好きな時に好きな場所で

 ただ、忌憚なく言わせてもらうと、評価すべき点はあるものの、まだまだ……。「事例集」によれば、これらの取り組みの参加者は1回10~30人。函館市では実人数777人と報告されていますが、市の人口約25万人中の777人ですから、0.31%。せっかくの取り組みが、わずかな人にしか届いていない。これでは、実質的な予防効果はほとんど期待できないでしょう。

 国がとりまとめる「認知症施策推進大綱」には、認知症の人が認知症とともによりよく生きていけるための施策が挙げられています。

 具体的には「認知症に関する理解促進」「認知症予防に関する可能性のある活動の推進」「早期発見・早期対応、医療体制の整備」「認知症の人の介護者の負担軽減の推進」など。

 オンライン健脳カフェでは、これらのほとんどを配信中の番組でカバーしています。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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