■日本では個人レベルで「法律より道徳」が優先される?
このねじれは、日本の状況を考えるうえで重要な点のように思われる。日本にはそもそも法律に対する意識が低い。法律より世間や周囲を重視する傾向が強い。法的な規制をかけても、自粛という形であっても、どちらでも同じような効果が得られるという読みが政府にあったかどうかは分からないが、結果から見ればそういうことであったような気がする。
この法に対する意識に関して、まず思い浮かぶことがある。結婚に関しての現実と日本国憲法の記載とのギャップである。日本国憲法第24条第1項では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とうたわれている。しかし、現実はお互いの両親を訪ねて、結婚の許しを得るという場面が現実にもよくあるし、ドラマでもしばしば見られる。
医療だけでは幸せになれない