医療だけでは幸せになれない

欧米の「ロックダウン」と日本の「外出自粛」…個人と全体の問題を考える

イタリアではクリスマス中もロックダウンが続いた(C)ロイター/Valeria Mongelli/Hans Lucas

 いくら両性の合意といっても、両親の合意を得るのが道徳的、倫理的に重要だ--結婚に対してはそんな面がある。それでは、コロナの外出自粛についてはどうか。多くは自分が感染したくないというだけだったかもしれない。自分自身が感染源になったら大変だという意識は、活動的な人の中にはあっただろう。ただ、多くの人はその判断に際し、意識的に道徳的、倫理的にどうかとは考えてはいないのではないか。そして、その背景には日本の道徳観や倫理観が均質ということがあるような気がする。

 コロナを考えることは、日本の道徳観、倫理観を考えることでもある。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

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