国家資格合格率データを読む(2)医師国家試験合格率と医学部現役卒業

2022年度 医師国家試験 新卒合格率(留年生を含めた合格率)

 では6年間で卒業できる割合は、どれくらいなのでしょうか。2021年度のデータ(医学部における国家試験等の状況⦅令和3年度⦆:文部科学省)が公開されているので、見てみましょう。それによると、国立大学は85.8%、公立大学は83.5%、私立大学は84.4%で、ほとんど同じです。ただし大学によって大きな開きがあります。

 国立大学では名古屋大(95.6%)、神戸大(94.9%)、鹿児島大(94.9%)など90%以上の大学が多い反面、徳島大(73.7%)、群馬大(76.4%)、宮崎大(76.4%)の3校は80%を切っていました。群馬大では、アカハラで多数の留年が出たといったニュースが流れているので、そうしたことが影響しているのかもしれません。

 公立大学では、名古屋市立大学(90.7%)が最高。しかし80%に届かない大学が3校ありました。横浜市立大(73.3%)、和歌山県立医大(78.8%)、奈良県立医大(79.8%)です。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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