Dr.中川 がんサバイバーの知恵

古村比呂さんがつらさを吐露 女性のがんは夫のサポート次第で夫婦関係に明暗

古村比呂さん(2011年撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 残りの2人は良好な関係のまま、夫が妻の病気を受け止め、しっかりと寄り添ったことで、喪失感のつらさが癒えたと報告しています。

 つまり、妻が女性性の喪失感を乗り越えられるかどうかは、夫の支えにかかっているということです。支えるとは、どういうことか。1つは、妻がつらい気持ちを楽に吐き出せる関係で、そのつらさを受け止めるのが2つ目です。その2つを前提に、妻への気配りや優しさ、病気の理解なども必要でしょう。

 ある女性は抗がん剤による脱毛を悲しみ、「髪が抜けても、一緒に寝てくれる?」と夫にメールしたところ、夫の「もちろん」の返事に安堵(あんど)し、うれしさを感じたといいます。

 もし妻が子宮や乳房のがんになったとき、これまで妻と良好な関係を築いた夫はそのまま優しく接すること。“失点”がある夫は、サポート次第で挽回のチャンスです。妻のがん治療への対応は、夫のその後を左右します。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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