がんと向き合い生きていく

老化した体のあちこちが気になってルーティンワークが増えた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 老化した体のあちこちが気になります。今日は腰、昨日は目がかすみ、一昨日は便秘などなど……。それががんでなかったことは検査で分かっています。がんで闘病され、自分よりももっともっとつらい方がおられるとは分かっていても、ひとり部屋にいると、神経は自分の体に集中し、さらに自分の病気をつくってしまっているような気もしています。

 寝る前には、床の中でラジオのニュースを聞きます。最近、思うのは、人の命の重さです。「人の命は地球よりも重い」と議論したのは、もう50年も前になります。今は、その頃よりも命が軽くなっているのではないか。

 しかし、一番の問題は温暖化で、地球は人が住めなくなるのではないか、戦争をしている場合ではない──などと憂いながら、Gさんは、もう一度、戸締まりを確認して休みます。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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