上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

睡眠時無呼吸症候群の治療装置CPAPが心臓を守り若さを保つ

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 私のまわりでも、実際にCPAPを使っている人がたくさんいます。そうした人たちに話を聞いてみると、「毎日きちんと装着していると、出張や外泊のときに装置を持参せず数日装着しないと、途端にガクッと調子が悪くなる」「最初はマスク装着に抵抗感があったけれど、始めて2~3日で体調がよくなって、今では手放せない」といった声が聞こえてきます。

 ほかにも、「起きたときにすっきりしているので二度寝をしなくなった」「マスクを装着していると、自然に口を閉じて寝なければならないので、起きたときに喉がカラカラに渇いていることがなくなった。定期的に通っている歯科では口腔内が格段にきれいになったと指摘された」と、やはり健康にとってプラス効果を実感している人が多い印象です。

 さらに最近は、循環器を専門にしている医師たちからの「CPAPは抗加齢医療(アンチエイジング)にも効果的ではないか」といった意見を耳にします。大規模な臨床試験の結果やしっかりした研究データがあるわけではないのですが、実際の現場ではそう感じているようです。たしかに、私の知人の中にも、十数年前に奥さんと死別した後にCPAPを開始してから、見た目にもまったく加齢を感じさせない方がいます。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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