がんと向き合い生きていく

化学療法の前に受精卵の凍結保存を選び授かった子供が希望になった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 そう自問自答して、Mさんは病気と闘いました。しかし、残念ながらその6カ月後、Mさんは亡くなりました。

■白血病では末梢血幹細胞の凍結も

 Mさんのお話は、がんになった患者が男性の場合です。女性ががんになった場合でも、化学療法により卵巣機能が低下する可能性があります。また、健康でも、卵子は加齢とともに老化し減っていきます。もし、卵子凍結する場合、実施できるのは35歳以下と決められている施設もあるといいます。

 卵子がどのくらい長く保存できるのか、はっきり分かっていませんが、施設によっては患者が50歳を越えたら廃棄すると決まっているところもあるようです。妊娠・出産の危険度が高くなるからとのことです。たしかに、長く保存はできたとしても、女性が健康で適切な時期に出産することは大事だと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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