第一人者が教える 認知症のすべて

今日も「健脳カフェ」は賑やか 学生も入り交じり会話が弾む

(C)日刊ゲンダイ
社会的なつながりが良好な人は認知機能低下が緩やか

 オーストラリアのニューサウスウェールズ大学の研究者は、加齢が認知機能に及ぼす影響を調べた、公表済みの13の研究を統合させ、新たに分析。その結果は、2022年10月20日の「Lancet Healthy Longevity」誌電子版に掲載されました。

 もとになった13の研究は、ブラジル、中国、イギリス、中央アフリカとコンゴ、スウェーデン、ギリシャ、韓国、ドイツ、マレーシア、オーストラリア、アメリカ、プエルトリコ、シンガポールで行われたもの。社会的なつながりの強さと認知症リスクの関係を調べた研究は数多くあるものの、研究者によって指標がさまざまであるため、明確な結論は得られていませんでした。

 今回の分析では、配偶者やパートナーがいる人は、そうでない人と比べて全般的認知機能のスコア低下が遅く、同居人がいる人は、1人暮らしに比べて全体的な認知機能に加え、記憶力や言語能力の低下が遅いことも示唆されました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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