話がそこまで来て、Fさんの呼び出し器が鳴りました。Fさんは「それではお先に。終わったら、会計のところで待っています」と、笑顔で診察室に入っていかれました。
■昔、一緒に食事した食堂に入ると…
そう言われれば、Fさんはたしか病院の建設だけではなく、人材集めや感染予防などのマニュアル作りにも積極的だった。隠れたすごい功労者だったなと思い出しました。ある新病院の設立にあたっては、院長候補としてある大学のM教授に白羽の矢が立った時、就任を説得されたひとりがFさんだったと、ずっと後になってから聞いたこともありました。
Fさんが診察室から出てくると、今度はSさんの呼び出し器が鳴りました。
Sさんの診察は15分ほどで終わり、診察室を出て会計に向かおうとしたところ、今度は知らない男性に呼び止められました。
がんと向き合い生きていく