ここまでの説明で気づいた方もいるでしょう。これらの病気は、HPVがセックスによって体のどこに感染するかという感染部位の違いに集約されることが分かると思います。
尖圭コンジローマは陰茎のイボが症状の一つですから、女性がそんな男性と肌を重ねると、当然感染リスクが高い。ではコンドームをしていれば大丈夫かというと、膣や陰茎への感染リスクは減りますが、完全にゼロにはできません。最近は、オーラルセックスが定着しており、中咽頭がんの急増は、その影響と考えられます。
休井さんは女性専用の人間ドックで診断を受けたそうですが、子宮頚がん検診は6年ぶりだったとか。そのサボリが冒頭のショックにつながるため、「死ぬリスクを背負うか、(子宮頚がん検診の)時間を割くか」と早期発見のための検診受診を涙ながらにPRしています。
子宮頚がん対策の一つが、まさに休井さんが重要性を訴える検診で、もう一つがHPVワクチンの接種です。この接種が男女そろって進めば、子宮頚がんは撲滅できますし、実際、女性の接種率が6~8割の米英などは感染者数が激減。根絶は時間の問題です。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵