がんと向き合い生きていく

「がんになりやすい性格」というものは本当にあるのだろうか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 席に戻ると、上司が「このあたりでたばこの臭いがする」と口にしました。隣の席のKさんが、「すみません。先ほど、屋上でたばこを吸っていました。臭いを消してから戻ることにします。気をつけます」と頭を下げます。Gさんは、心の中で「あんなふうに、謝るのもストレスだな」と思いました。

「それにしても、ストレスはがんに関係するのだろうか? それとも喫煙が関係した? しかし、ストレスのある生活からは、性格的に逃げられない。でも、これって本当にがんに関係するのか?」

■ストレスは免疫機能を低下させる

 がんは心筋梗塞や脳卒中などと同じく生活習慣病とされ、過労、栄養、喫煙などの関与が考えられています。「がんになる性格、ならない性格」という本(本田宏・重久剛著 廣済堂出版)があります。一概に、こんな性格の人ががんになりやすいとかなりにくいとか、科学的に証明された報告はないのですが、それでも、「快活な人より、ふさぎ込んだような人にはがんが多い」との説もあります。ただ、「がんになった」という結果で、そのような態度になったのかもしれません。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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