ランダム化比較試験は本連載で紹介したデンマークの研究である。バングラデシュの研究は含まれていない。観察研究とは、ランダム化比較試験のように研究実施側がマスクを勧める群と勧めない群を意図的に分けるのではなく、現実の世界でマスクを着けている人と着けていない人での発症率を比較したり、コロナに感染した人としていない人で、過去にマスクを着けていたか・いないかを比較したりする研究である。ランダム化比較試験と比較すると交絡因子や自己選択バイアスの影響を受けやすいという欠点があるが、より一般的な集団を対象にしているというメリットもある。
メタ分析は一般に最も信頼に値する論文と考えられているが、必ずしもそういうわけではない。メタ分析の結果が後の単独のランダム化比較試験で否定されることもしばしば起きる。
■さまざまなバイアスの影響を受けやすい
医療だけでは幸せになれない