上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

退職した中高年は心臓病リスクが低くなる…考えられる理由

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 まず、過剰に仕事を引き受けないようにすることです。そのためには、日頃から、余裕をもってこなせる内容の仕事をすれば問題ない環境や、自分がフル回転しなくても周囲が勝手に動いてくれるような環境を整えておくことが重要です。週休2日にプラスして、隔週でもう1日休日を設けるなどの余裕も必要でしょう。そんな働き方を実践できれば、ストレスの軽減と、睡眠時間の確保につながります。

 また、座っている時間をなるべく減らし、体を動かす習慣をつくることも重要です。参考までに「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、ウオーキング、速足、水泳、エアロビクス、スロージョギング、サイクリングなどの有酸素運動を、「ややきつい」くらいの強度で、毎日30分あるいは週150分を目標に週3回は実施することが推奨されています。

 仕事を続けていても、「自分を守るための時間」を意識してつくることが心臓病リスクの軽減につながります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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