とはいえ、弁の大きさや配置のバランスによっては、片方の弁にかかる負担が大きくなり、徐々にズレを生じて血液の逆流につながったり、負担の大きさの違いから硬化を来すなどして、大動脈弁狭窄症や大動脈弁閉鎖不全症といった心臓弁膜症を発症しやすくなったり、大動脈瘤や大動脈解離を起こしやすくなるケースもあります。
息子さんは、そうした情報をインターネットなどで調べたのでしょう。彼の年齢ではまずこれといった症状は出ていないはずなのに「どうしても手術を受けたい」と、ある心臓外科医を訪ねたそうです。そして、そのまま機械弁に交換する手術が実施されました。
機械弁が設置された場合、血栓が生成されるのを防ぐワーファリンという抗凝固薬をずっと飲み続けなければなりません。しかし、その息子さんは今度はワーファリンに関する副作用などのマイナス情報を目にして自主的に服薬を止めてしまいました。その結果、血栓がつくられて、いつ致死的な心臓トラブルを招いてもおかしくない状態で生活しているといいます。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」