糖尿病治療の最新ゲームチェンジャー「GIP/GLP─1受容体作動薬」はどんな薬なのか?

青島周一氏(提供写真)

 なお、セマグルチドはオゼンピック(R)の商品名で2型糖尿病の治療薬として用いられていますが、2023年3月にはウゴービ(R)の商品名で、セマグルチドが肥満症の治療薬として承認されました(発売時期は未定)。

■最終治療目的に近づく可能性も

 今年の7月28日付で、厚生労働省は「GLP-1受容体作動薬の在庫逼迫に伴う協力依頼」と題した通知を発出しています。GLP-1受容体作動薬の需要増に伴い、一部の製剤において限定出荷が生じているためです。需要増加の要因は、美容や痩身、ダイエットなど、適応外でGLP-1作動薬が使用されている事情も大きく関連しています。近年、自由診療でGLP-1作動薬をやせ薬として用いる機会が増加しており、俗に「GLP-1ダイエット」などと呼ばれています。

 2023年8月に、日本イーライリリー株式会社はトルリシティ(R)(デュラグルチドを主成分とするGLP-1作動薬)に関する案内文書の中で、同薬の効能または効果は「2型糖尿病」であり、適応外で使用された場合には、本来の効果が見込めないだけでなく、思わぬ健康被害が発現する可能性も想定されると注意喚起を行っています。

5 / 7 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事