糖尿病治療の最新ゲームチェンジャー「GIP/GLP─1受容体作動薬」はどんな薬なのか?

青島周一氏(提供写真)

 同文書ではまた、真に必要な患者へ少しでも多く供給できるよう、適応外使用(美容・痩身・ダイエット等)は厳に控えるよう強調されています。

 むろん、高い減量効果が期待できるチルゼパチドも、その発売直後から流通状況が悪化していて、今年7月18日から限定出荷が開始されています。セマグルチドもまた、同8月から限定出荷が開始されており、GLP-1作動薬の流通悪化は、まさにドミノ倒しの様相となっています。このような事態の早期解決のためにも、不適切な適応外使用に伴う健康被害や、不適切使用の実態を正確に把握する必要があります。

 GLP-1作動薬も医薬品であり、一定の確率で副作用が発生する可能性があります。同薬の低血糖リスクは低いとはいえ、過度な摂食制限を併せて行えば、重大な低血糖の発生リスクは高まります。また、GLP-1作動薬には、吐き気や嘔吐などの胃腸障害の副作用が知られています。適切な適応症に基づかない安易な使用は厳に慎むべきです。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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