糖尿病治療の最新ゲームチェンジャー「GIP/GLP─1受容体作動薬」はどんな薬なのか?

主な血糖降下薬とその効果の比較(C)日刊ゲンダイ

 今年4月、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬、チルゼパチド(商品名:マンジャロ(R))が発売されました。

 GIPとはグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド、GLP-1とはグルカゴン様ペプチド-1と呼ばれる物質で、両者はともにインクレチンと総称されるホルモンの一種です。

 チルゼパチドは、GIPおよびGLP-1が生体内で作用する部位(受容体)を刺激することで両者の働きを強めます。GLP-1受容体を刺激する薬(GLP-1受容体作動薬)は、既に複数承認されていて、日本でも糖尿病の治療薬として実用化されています。しかし、GIPとGLP-1受容体の両方を刺激する薬は、チルゼパチドが初承認となります。

 なお、この薬は週に1回の注射製剤。患者さんが自分で注射できるよう、1回使いきりの自己注射器を使います。

1 / 7 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事