老親・家族 在宅での看取り方

多発性骨髄腫の80代男性「打つ手がないなら点滴はやらないで自然でいたい」

在宅では患者さんの状態に合わせて対応(C)iStock

「ここ(胸)のところだけ」(患者さん)

「痛み止めはもらってるんですが、意識がぼーっとしてます。病気のせいか薬のせいかは分からないんですが」(息子)

「両方あると思います。腫瘍が骨にくっついて、骨が溶けてカルシウムが多くなると意識が悪くなるんです。痛みは強いですか?」(私)

「10段階で6くらいです」(息子)

「オキノーム(鎮痛剤)はどのくらい使いました?」(私)

「今は1日1回くらいかな」(息子)

「我慢せずに使ってください。その量を見てオキシコンチン(別の鎮痛剤)を増やしますので」(私)

「これ使うと意識が悪くなるんですよね。痛みは減ったんですが、意識がなくなるのも嫌だなって」(息子)

 痛みを最小限に抑え、ご家族に見守られながら穏やかに自宅で過ごしていただくことを第一に、患者さんやそのご家族との話し合いにより、その患者さんに最適の方法を探ります。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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