上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

収入が低くなると心臓病リスクが高くなる…理由はいくつもある

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 さらには、年収上位3分の1のグループは、下位3分の1のグループに比べて運動習慣がある確率が76%高く、心肺機能が劣る確率が47%低いこともわかったといいます。つまり、高収入の人は普段から積極的に運動していて、それだけ心臓が守られているということです。

 こうした研究結果を考慮すると、はっきりした科学的な根拠はまだないとはいえ、収入と心臓疾患の関係を軽視することはできません。

 貧困化が進み、生活に苦しむ人が増えているいまの日本で、いきなり収入をアップさせるのはなかなか難しいでしょう。だからこそ、できる限り心臓病リスクをアップさせないような生活習慣を意識しておくことが大切なのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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