Dr.中川 がんサバイバーの知恵

食道がん公表のチバユウスケさん他界…飲酒後は唾液中の発がん物質濃度が10倍に

飲酒後に酔ってそのまま寝てしまうのはNG

 アルコールの種類は、度数が高いほど高リスクで、ビールやサワー、ハイボールなどよりも、ウイスキーやウオッカなどのハードリカーをストレートやロックで飲む方が食道がんの頻度が高くなります。

 食道には漿膜がないため、早い時期から周りのリンパ節をはじめ臓器に転移しやすいのも厄介ですが、禁酒するとその恩恵も受けやすい。

 京都大学の研究グループは、早期食道がん患者330人の治療経過を追跡。禁酒の影響についても分析した結果、禁酒したグループは、していないグループに比べて1年以上経過した再発が半減。特に多発した患者では4分の1に減少したのです。禁煙の短期的な効果は認められませんでしたが、禁酒効果は比較的、早期に得られます。お酒やたばこをたしなむ人は1年に1回の胃カメラ検査が必須でどちらもほどほどを心掛けることが大切でしょう。チバさんのご冥福をお祈りします。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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