Dr.中川 がんサバイバーの知恵

百田尚樹さん、大友康平さんが相次いで…腎臓がん4cm以下はラジオ波で焼き切る

大友康平さん(C)日刊ゲンダイ

 一般にラジオ波焼灼療法は局所麻酔で行える上、腫瘍をピンポイントで焼き切ることができます。体への負担が少なく、各臓器の機能を温存できるのが大きな利点でしょう。

 1回の通電時間は5~10分ほど。腫瘍が複数、あるいは大きい場合は、処置を数回繰り返すことになります。

 腎臓がんの場合、大きさが4センチ以下が対象ですが、その中でも1~3センチ以下で、血管やリンパ管などへ浸潤、転移がないタイプがより効果的とされます。これにマッチして治療の対象になるのは4割程度です。

 しっかりと焼き切るには、針を刺す経路選択が大切で大きくなるほど難しい。また、その経路に大腸や血管があったり、周りに腸管やすい臓などが近接していたりすると、それらを避けて針を刺す経路を確保することになります。

 それらに傷がつくと、血腫や血尿、消化管損傷などの合併症の恐れもゼロではありません。そのリスクを最小限に抑えながら適切に治療を行うことができれば、メスによる切除と同等の治療効果が期待できます。複数のがんがあって小さい人や高齢者、すでに片方の腎臓を失っている人などにはお勧めです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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