かつては、術後は1週間近く集中治療室で安静にするのが当たり前と考えられていました。しかし近年は、患者さんがベッドから起き上がって歩行などを行う「離床」をできるだけ早く始めるようになっています。医師や看護師、理学療法士らのリハビリスタッフの指導のもと、一般的には手術の翌日から離床を始め、2~3日で病院内を歩き回り、平均で2週間ほどリハビリを行うのです。
■機能がプラス50%回復するケースも
高齢者の場合、ただでさえ体力や筋力が衰えているため、術後に長期間寝たきり状態になると「廃用症候群」を起こしやすくなります。長く安静状態を継続することで心身機能が大幅に低下する病態で、日常生活に戻るまでに時間がかかってしまったり、そのまま寝たきりになる原因にもなります。
廃用症候群を防ぐとともに早期回復のためにはリハビリは欠かせません。医師をはじめとするリハビリのスタッフと患者さんがしっかり情報を共有し、何かトラブルがあれば早い段階で見つけて対応しながら体力と運動機能の回復に努めます。すると、再手術で心臓が軽快した分、手術前よりも運動機能がプラス50%くらい回復するケースも珍しくありません。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」