独白 愉快な“病人”たち

文化放送ディレクター白石仁司さん緑内障を語る「白く深い霧の中で生活している感じです」

白石仁司さん(C)日刊ゲンダイ
わが子が一番安心できるナビゲーター

 その後は問題のない左目で生活も仕事もこなしていたのですが、2020年1月にコロナに罹患してから変化しました。因果関係はわかりませんが、やり慣れたレーザー照射手術をしたところ、1週間後の眼圧が47に跳ね上がったのです。急きょ、眼圧を下げる手術を受けたわけですが、そこから左目も視野が欠けるようになりました。

 左目は中心視野がまだ残っているので、集中して頑張れば新聞の字を読むことも可能ですけど、全体的には白く深い霧の中で生活しているような感じです。人がいることは見えますが、人の顔を判別することはできません。なので、面識のある方とすれ違っても無視してしまうんですよね。社内では慣れているので、今は視覚障害者が使う「白杖」もつかずに歩きますし、知らない人が見たら普通の人。それがかえって誤解を招くといいますか……。

 たとえば、エレベーターに乗っていて扉が開いたので「ここ何階ですか?」と聞くと、「見ればわかるでしょ」という空気が流れるんです。今では社内のエレベーターは「何階です」とアナウンスされるように改善されました。

3 / 5 ページ

関連記事