上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「アレルギー」は心臓血管疾患の発症に大きく関わっている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 該当する人は、ほかにもアレルギー反応を引き起こす物質がある可能性が高く、日常生活の中で遭遇する外的要素に対し、ある日突然、ドカンと強いアレルギー反応が現れる“火種”を抱えているといえます。それも、意外に身近なものが引き金になる可能性もあると、頭の片隅に置いておきましょう。

 ここ数年の新型コロナワクチン接種に関連して取りざたされたアナフィラキシーもアレルギーのひとつです。発症から極めて短時間で全身症状が現れ、ショック状態に陥って血圧の低下や意識障害などを引き起こし、命に関わるケースもあるので、気を付けるべきなのは言うまでもありませんが、症状が現れるまでに1~2日ほど時間がかかる遅延型のような形で生じるアレルギーにも注意が必要です。

 ある日、虫に刺されたり、化学物質に接したり、ワクチンを接種したり、クスリを飲んだりしたことが引き金となって、アレルギー反応が増幅されるケースがあるからです。外国からの通販を利用する人の場合、梱包に使う段ボールに外来種の虫やその卵が付着していて、新たなアレルギーのもとになったりもします。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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