正解のリハビリ、最善の介護

「老健」のリハビリでより回復するための方法はあるのか?

「ねりま健育会病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

 5段階の中で最高評価に当たるのが「超強化型」で、在宅復帰・在宅療養支援等指標の点数(最高90点)が70点以上かつ、4つの評価項目の要件をすべて満たしている施設が該当します。つまり、しっかりリハビリを受けて、できるだけ早く在宅復帰したい高齢者は「超強化型」を選ぶ必要があります。

 ただ、「超強化型」は老健全体の25%ほどしかないうえ、「とりあえず保険制度で定められている1日平均30分のリハビリを毎日やります」といった程度の取り組みで、現実は“お預かり施設”となっている場合も少なくありません。

 老健に常勤している担当医の多くは、リハビリで回復したいと考えている高齢者に対し、「何が問題で機能と能力が落ちているのか」「どのくらいまで回復するのか」「そのためにはどんな介入が必要なのか」といった的確な予測や対応が難しく、積極的なリハビリを行える体制自体も整っていないからです。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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