正解のリハビリ、最善の介護

退院後に自宅で続けるリハビリはどんなものが有効なのか?

「ねりま健育病院」院長の酒向正春氏(C)日刊ゲンダイ

■「コミュニケーション」が重要なポイント

 また高齢者では、転倒・骨折を防ぐことが非常に重要です。高齢になると、骨がもろくなっていたり運動機能の衰えから転倒、骨折しやすくなります。転倒・骨折をきっかけにそのまま寝たきりになって、介護が必要になるケースも少なくありません。

 転倒を避けるためにも、自宅で立ち上がり訓練を続けることが大切になるのです。30回の立ち上がり訓練を可能にするポイントは、毎日1回ずつ無理なく増やしていくことです。1日1回を3回から始めても、30日目には30回を3回できることになります。確実に脚力がつきますので、ぜひ試してみてください。

 立ち上がり訓練で筋力と体力を維持するほかに、退院後のリハビリとして重要なのが「コミュニケーション」をとることです。誰とでも構いませんので積極的にコミュニケーションを図り、新しい会話を楽しんで、脳に刺激を与えることは認知機能の低下を防ぎます。さらに、何かしら楽しいと思えるものを探して楽しい時間をつくるのも大事です。

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酒向正春

酒向正春

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

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