なりやすい病気は血液型でわかる

10万人の追跡調査で判明 O型は膵臓がんにかかりにくい

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 血液型と病気の関係が研究されはじめたのは1920年代。最初に関係が見つかったのは、意外にも胃がんでした。イギリスの医師が行った研究で、「AB型が胃がんに罹りやすい」と報告されたのです。ただし、わずか50人の胃がん患者の血液型を調べた結果なので、統計的な意味はほとんどありません。

 その後、より詳しい疫学研究が行われた結果、20世紀末までには、「A型が少し胃がんに罹りやすい傾向」にあり、「O型がやや罹りにくい」というコンセンサスが、研究者たちの間でほぼ確立したのでした。

 日本では1950年代に厚労省のがん疫学調査の中で、血液型との関係が調べられ、欧米と同じ傾向にあることが確かめられました。しかし70年代に入ると、血液型性格診断が隆盛してきた影響で血液型に関する研究は敬遠され、いつしか忘れ去られてしまったのです。いまでも日本では血液型関係の研究は、ほとんどタブー視されています。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。