とはいえ70代の手術の半数は内視鏡、つまり患者の半分近くは「上皮内がん」だったというわけです。そうと分かってしまえば、少し安心できそうです。ただ、残りの約1万7000人は「本物の」胃がんだったと思われます。しかも70代の胃がん死は約1万1000人に達しているのです。つまり、高齢で「本物の」胃がんと診断されてしまったら、それなりの覚悟が必要になるということです。
■ただし、多くは上皮内がん
内視鏡の件数から、各世代の上皮内がんの割合を推定できます。60代で約4割、50代では3割に満たず、40代は約2割、そして30代ではわずか1割です。若年の胃がんは家族性(遺伝性)のものが多いといわれており、進行が速いため上皮内がんとして見つかる率が低いのかもしれません。
「本物の」胃がんには開腹または腹腔鏡手術が行われますが、開腹手術の割合が高くなっています。
胃は食道と十二指腸の間に袋状になって存在しているため、切除後の後始末(食道側と十二指腸側を、形と大きさを整えてつなぎ合わす)が難しいからです。また、進行度によっては周辺のリンパ節郭清が必要になりますが、やはり開腹のほうがやりやすいからです。
明細書が語る日本の医療