明細書が語る日本の医療

子宮全摘術 地方の患者は東京で手術したほうがいい?

子宮がん手術の多い病院(C)日刊ゲンダイ

 レセプトデータを基に作られるDPCオープンデータで、子宮がん手術の多い病院をチェックしてみましょう。子宮頚がんのみが対象となる手術(子宮頚部切除術、レーザー照射の合計)と、進行した頚がんと子宮体がんが対象となる子宮悪性腫瘍手術(子宮全摘術、腹腔鏡手術を含む)の数字が公開されています。
<表>はそれぞれの上位16病院をまとめたものです。

 子宮がんの全摘を行っている病院は全国に479ありますが、年間50件以上の実績があるのは88病院。全手術の43%を担っています。年間100件以上は表に載っている上位15病院のみです。トップは「兵庫県立がんセンター」、2位は「がん研究会有明病院」で、この2つだけが年間200件の大台に乗っています。

 子宮体がんの手術では、卵巣など子宮付属器官を一緒に切除するのが一般的です。また、周囲への浸潤がある場合は「骨盤内臓全摘術」が行われます。子宮周辺のみならず、直腸や結腸、場合によっては膀胱の一部まで切除する、非常に大掛かりな手術です。こうした手術には下肢のむくみなどの後遺症がついて回るため、出来るだけ実績豊富な病院を選ぶべきです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。