自分の自由時間が欲しいなら、「速く、しかも仕上がり良く終わらせる」ことが重要です。そうすることによって、患者さんの回復が早くなるうえ、術後管理のためにかける時間を少なくすることができます。外科医が関わらなくても、その患者さんを担当している看護師や若手スタッフが対応するだけで問題ない状態になるように終わらせるのです。
仮に、仕上がりがそれほど良くない状況では、看護師や若手スタッフでは手に負えない場面が出てきます。そうなると、外科医がずっと対応することになり、自分の時間をつくることができなくなってしまいます。
つまり、「限られた時間」を有効に使うことを意識して、速く正確に仕上がり良く手術を終わらせることは、その患者さん、次の患者さん、そして外科医自身にとっても大きなプラスになるのです。
また、「他の施設ではまだ行われていない治療を自分がやってやろう」といった功名心によって自分の治療を歪めてしまうと、外科医にとって最も重要な「トラブルなく患者さんを早く回復させる」という根本から遠ざかるだけでなく、まったく逆の状況を招くリスクも高くなります。すると、結果的に自分の時間をつくることもできなくなってしまいます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」