また、ストレスを受けて副腎皮質ホルモンが多くつくられることでコレステロールの血中濃度が高まり、血糖値も上昇して動脈硬化による病気が起こりやすくなります。ストレスは、高血圧、高コレステロール、高血糖という心臓疾患の代表的なリスク因子を揃える原因になるということです。
日本にもストレスと心臓疾患に関する研究があります。何らかの趣味を持っている人は、趣味がない人に比べて心血管疾患の発症が少ないというものです。ゴルフ、ジョギング、釣りなどの体を動かすような屋外での趣味だけでなく、読書、映画観賞、コンサート、ゲームといったインドアの趣味でも、差はなく発症が少ないと分析されています。趣味でストレスが解消されたり、リラックスできることが心臓を守っているといえるでしょう。
反対に、頻繁に怒りを爆発させてストレスを抱えている人は、心血管疾患の発症リスクがアップするという報告があります。ハーバード公衆衛生大学院の研究チームが怒りと心臓病の関連を調べた9件の研究を解析したところ、激しい怒りの後では、心筋梗塞や心臓発作などを発症するリスクが4・7倍に増えていました。仮に1日5回怒ると、心臓にリスクを抱えている人は1万人当たり年間657回の心臓発作が起こる計算になり、心臓に問題がない人でも年間158回に上るといいます。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」