高齢者にとって、孤独はがんや心臓病よりも怖いといわれています。アメリカで行われた研究によれば、孤独は「たばこ1日15本分」のリスクに匹敵するとか。それで早死にできれば、むしろ歓迎かもしれません。でもたばこ15本では、そう簡単に死ねないでしょう。心と体をじわじわとむしばまれ、衰弱しているところを発見されて、病院に収容される可能性が高そうです。もちろん病院ではみとってくれませんから、そのための施設で最期を迎えることになるのです。
そんな寂しい老後を避けるためには、保険が役に立つでしょうか? それよりも孤独対策を始めることが大切です。もちろん筆者も始めています。数年前から大学や高校の同窓会を主催したり、町内会の役員を務めたりしています。以前の職場の同僚たちとも、ときどき会っています。そうしたつながりが、老後の「安全保障」に役立つはずです。
万一の備えの保険よりも…病気予防にお金をかける時代へ
- 2018年09月21日
永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。