後悔しない認知症

「想定外」が効果的 数独より海外旅行が前頭葉を刺激する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■新しいチャレンジは脳の老化を遅らせる

 認知症にかぎらず、老化による脳(前頭葉)の萎縮は新しいものへの適応力の劣化を招く。だからこそ、はじめは尻込みしたり、戸惑ったりしても、新しい情報を入力する機会を増やしてあげるべきなのである。それが脳の老化を遅らせるだけでなく、そうした経験によって、さらに好奇心に火がついたり、行動への意欲が湧いてきたりすることも少なくない。

 知人から聞いた話がある。70代後半の両親をハワイ旅行に連れ出そうとし、成田空港でイザ搭乗となったとき、母親が「帰る」と言い出したそうだ。生まれてはじめての海外旅行におじけづいたのである。なんとか言いくるめて無事旅立った。すると駄々をこねた母親は帰国すると別人のようになり、以来、海外旅行マニアに変身した。そればかりか、英会話の勉強をはじめたというのである。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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