後悔しない認知症

「死にたい」という親に「そんなこと言うな」は禁句です

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 子どもはその現実を無条件で受け入れて、寄り添ってあげるべきなのだ。基本はまず、親の話を聞いてあげること。悲嘆にくれる親の話を聞くことは、子どもにとって決して愉快なことではないかもしれない。論理性、整合性にも欠けることが多い。それでも話を聞いてあげることだ。

 きちんとうなずきながら話を聞いたうえで、子どもは「もし、死なれたら自分はとても悲しい」「生きていてくれるだけでうれしい」という思いを伝えるべきなのである。

 一度や二度のやりとりで親の「死にたい」がやむことはないだろう。しかし、日ごろから子どもがそうしたメッセージを口にすることで、その記憶が親の脳にも定着し、思いは伝わるはずだ。老化、認知症による脳の萎縮によって物事の理解力が衰えているにせよ、子どもが悲しむことを喜ぶ親はまずいない。

 さらに親が塞ぎ込まないように、はじめての場所、あるいは楽しい思い出がある場所などに連れ出したり、親が喜ぶ過去の思い出話をしてみたりするのも脳にいい刺激を与える。親の「死にたい」に対して「そんなことを言っちゃダメ」とか「またはじまった」といった正面からの反発や否定の言葉は決して吐かないことだ。

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和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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