一方、後進国では所得が少ないために高価な抗がん剤を買えない人がほとんどです。また、整形外科や脳神経外科でも高次の運動機能を回復させる専門科が不十分なので、外傷や病気による機能障害が残ってしまう患者さんがたくさんいます。それらを改善するための再生医療を必要としている患者さんがたくさんいるのです。
日本は医療先進国ですが、臓器移植のハードルが高いことなどから再生医療を必要とする患者さんが多くいます。いわば先進国と後進国の中間の立場に位置していて、再生医療のキャスチングボートを握っているといえます。
だからこそ、再生医療を研究するしっかりした組織をつくり、患者数が多いアジア諸国に出向いて治療を行い、その中で得た知見を日本に持ち帰ってバージョンアップしていく。そうした考え方で再生医療の研究を進めていくのが発展への近道かもしれません。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」