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里芋は皮付近の豊富な栄養とうま味を逃さないこと

里芋は一口大の乱切りにして汚れはペーパータオルで(C)日刊ゲンダイ

 以前、台湾のチョウを観察するために本島南部の海上の小島に出かけたことがある(私は、子どもの頃からの虫オタク、それが高じて生物学者になった)。

 人里を離れて山道を上っていくと、斜面の密林の中に思いがけず狭い段々畑が作られていた。谷筋から水が流れ込んでいて、青々としたハート形の葉っぱが茂っていた。里芋だ。日本では主に畑で作られているが、奄美諸島以南ではこのように水を張って育てていることが多い。日照の多いところではその方が収穫量が上がるからだ。

 秋が旬。里芋を掘り出したことのある人はよく知っていると思うが、根は一抱えもあり、そこに小さな丸い芋がびっしりとついていて、おのずと自然の恵みの豊かさに感謝することになる。これはすべて里芋が光合成によって、大気中の二酸化炭素を炭水化物に変えてくれたもの。芋こそが重要な炭水化物源=主食として人間の文明を支えてきた。里芋は、じゃがいも、さつまいもに比べて、独特のぬめり、ネバネバ食感があり、これがまた煮物などにするとおいしい。

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