慢性的な睡眠不足は、空腹時血糖値の上昇、基礎インスリン分泌能力の低下、体内のホルモン分泌、自律神経機能の異常などを招きます。わずか2日睡眠不足が続いただけで、食欲抑制ホルモンの分泌が減少し、一方で食欲促進ホルモンの分泌が増す、といった報告もあるのです。睡眠時間の十分な確保は、日中の眠気をなくすだけでなく、健康を維持することにもつながるのです。
睡眠では、量とともに質も大切です。「しっかり寝ているのに、日中眠い」「家族や同居者からいびきを指摘される」「起床時、頭痛や口の乾きなどがある」「すっきり起きられない。起きた時、体が重い」といったことがみられれば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われます。
SASには、空気の通り道である上気道が狭くなり、睡眠時に呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸タイプと、呼吸中枢の異常がある中枢性睡眠時無呼吸タイプがあります。SASの大半が前者で、肥満による首や喉回りの脂肪沈着、扁桃肥大、頭蓋骨の骨格が小さく気道が狭くなりやすいなど、さまざまな原因があります。SASは治療を受けなければ良くならず、放置すると血圧が上昇し、やがては心筋梗塞や脳卒中を招きます。少なくともいびきがあるなら、SASの検査をぜひ受けてみるべきです。
糖尿病をはじめ生活習慣病対策となると、つい食事や運動にばかり目が行ってしまいがち。しかし、睡眠も重要であることを、しっかり理解していただきたいですね。
進化する糖尿病治療法