最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

新型コロナの影響で在宅医療の重要性が一層浮き彫りに…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 この退院時の協議では、病状の説明に加え、本人や家族の希望など大事なことが話し合われます。病状は診療情報提供書(紹介状)を見れば分かるのですが、患者さんやご家族に病院の医師が何をどこまで説明をしているのか、患者さんとご家族の希望に違いがあるのかなど、文面では表現できない微妙な内容も確認できます。

 コロナが怖いからと在宅医療に切り替えた患者さんがいました。その方は奥さまとの2人暮らし。アルツハイマー型認知症で、前立腺がん末期の80歳の男性です。コロナの影響で院内でのリハビリができなくなり、筋力などの機能低下(廃用)が進みトイレに行くのも困難に。奥さまが見かねて在宅医療への移行を決断しました。

 在宅医療がスタートしたのは桜の咲く4月。それから4カ月後の8月には旅立たれていかれました。

 自宅に戻られた当初は旺盛な食欲を示され、奥さまの用意したおにぎりやグラタン、好物の大福もちをおいしそうに食べていたとのこと。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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