独白 愉快な“病人”たち

舞台上で息が苦しくなって…俳優・松尾貴史さん「肺塞栓症」を振り返る

松尾貴史さん(本人提供)

 そうそう、集中治療室にいたときに、遠くのテレビから私の緊急入院のニュースが流れてきて、「肺塞栓症はつまりエコノミークラス症候群」と決めつけられていたのですが、私は違います。あれは飛行機などでジッとして動かないことが原因なんですけど、私は落ち着きがなくジッとしていられない性質なんです。

 “鷗外”の役のために1年かけて体重を11キロ落としたので、脂っぽいものも控えていましたしね。それでも肺塞栓症にはなるんです。原因はわかりません。でも主演舞台のプレッシャーはかなり大きかったので、あるとすればそれかな。

(聞き手=松永詠美子)

▽松尾貴史(まつお・たかし) 1960年、兵庫県生まれ。大学非常勤副手の傍ら、DJをしていた大阪のディスコでスカウトされ芸能界デビュー。俳優以外にも音楽活動、落語、執筆、折り顔作家(折り紙で顔を作る)など幅広く活躍している。演劇ユニット「AGAPEstore」座長、日本文芸家協会会員、雑誌「季刊25時」編集員。最新刊「違和感ワンダーランド」(毎日新聞社)が発売中。

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