政府が早期対応を呼び掛けている「医療DX」ってなんだ?

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 その患者はこれまでどのような病気にかかり、それぞれどんな治療を受けてどんな薬が処方され、その予後はどうだったのか。そうした医療情報が、医療機関や診療科をまたいで活用できるようになると、患者が複数の医療機関を受診していたり、転居などで医療機関を変更しても、滞りなく治療を引き継げたり、一定水準以上の医療を受けることができる。

 また、デジタル化によって多くのさまざまな医療データを集約して分析できるようになるため、より有効な治療や投薬の実施にもつながる。

■日本は電子カルテの活用が大きく遅れている

「ただ、DX推進による電子カルテのさらなる普及には、課題があるのも事実です。電子カルテはセンシティブな個人情報の塊なので、外部には出さず、それぞれの施設が内部だけで管理・運営するのが基本になっています。地域によってはいくつかの医療機関が連携して電子カルテを共有しているケースもありますが、全国的な規模ではありませんし、可能なのはカルテの閲覧のみという場合もあります。欧米など海外では、患者の医療情報を外部から取り出せる仕組みがはじめから構築されていますが、日本は大きく遅れているのが現状です。現在、個人情報の部分を隠してデータだけを外部から取り出せるようなシステムが開発中ですが、どこまで活用されるかは未知数といえます」

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