Dr.中川 がんサバイバーの知恵

桑野信義さんが投稿 大腸がん手術後の排便障害はオムツでもつらい

桑野信義さん(C)日刊ゲンダイ

 大腸は、小腸を上から囲うように存在し、右側から上行結腸、横行結腸、下行結腸と連なり、S状結腸を経て直腸に区分され、肛門に続きます。「結腸」と称される部分では、排便障害などの障害に悩まされるリスクは非常に低い。手術後の後遺症は、大腸がんの発生場所が関係するということです。

 しかし、そんな直腸のがんであっても、早期発見できれば、後遺症のリスクを減らすことができます。排便障害は、残された直腸が短いほど影響が大きいため、早期発見で内視鏡切除なら、より長く直腸を温存できるためです。内視鏡は腸管内の手術ですから、その外にある排尿や性機能の神経がダメージを受けるリスクも少なくなります。

 桑野さんは便に血が混じっているのを見つけながら、すぐ検査を受けず診断時はステージ3b。1年に1回の検便に加え気になる症状があれば内視鏡検査をためらわないこと。ステージ1の大腸がんは、5年生存率が98%。ほぼ治るのですから。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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