認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

孫と中国を旅したいと一念発起 70代初めから中国語を勉強し始めた

写真はイメージ

■意欲を持って楽しんで取り組むことが脳に好影響

「いつかおじいちゃんと中国に旅行したいなぁ」

 そんなお孫さんの言葉に一念発起し、Aさんは中国語の勉強を開始。とっくの昔に現役を退いていましたから、時間はたくさんある。NHKのラジオ講座やテレビ講座を録音・録画し、繰り返し見聞きして、勉強しました。

 その甲斐あって、数年後にはカタコトの中国語が話せるようになった。お孫さんは高校卒業後、中国・北京の大学に留学。そのお孫さんを訪ねて、Aさんは何度も一人で北京に出かけました。お孫さんとは別に、単身、中国国内を旅することもあったそうです。

 さらに話は広がります。せっかく学んだ中国語、普段から使わないとサビついてしまうと、中国人や中国に関心がある人が集まるサークルに入り、積極的に中国語を話すように心掛けました。そうすることで、中国語レベルがますます「生きたもの」になっていきました。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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