認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

孫と中国を旅したいと一念発起 70代初めから中国語を勉強し始めた

写真はイメージ

 サークルで知り合った年の離れた友人と中国語のカラオケに行ったり、現地そのままの中国料理を食べられる店に出かけたり。コロナで交流が制限された時期は、オンラインで会話や飲み会を楽しんでいたとのことです。

 誰しもが「80代にはとても見えない!」と驚嘆するAさんですが、現役時代は仕事一筋で、退職後もさほどアクティブな生活を送っていたわけではありませんでした。ちょっとしたきっかけで、Aさんの「その後」が大きく変わったわけです。

 Aさんみたいにはとてもなれないよ……。そんなふうに思う方もいるでしょう。でも、そういう方も、何か好きなこと、興味があること、やってみたいな、と思うことは、ひとつくらい見つかるのではありませんか?

 そういったことを、これまで以上に究めようとしたり、新しく始めたりするのでもいいのです。例えば、「テレビで見た観光地に行ってみたい。歩き回れるようにウオーキングを始めようかな」といったものでも、もちろんOK。

 意欲を持って、そして楽しんで取り組む。これは脳全体の機能を高め、認知症予防に大いに貢献しますよ。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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