がんと向き合い生きていく

薬もいくつかつくられたが…キノコはがんに効くのだろうか

カワラタケ

 ひと頃、サルノコシカケはがんに効くとか、キノコを食べる家庭ではがんが少ないとかいわれたことがあったように思います。キノコは免疫力を活性化させるのではないかというのです。キノコに含まれる多糖類のβ-グルカンは免疫力を上げる、アレルギーを予防する、コレステロールを下げる……などと聞いた記憶があります。

■「免疫賦活剤」という言葉もあまり聞かなくなった

 以前、キノコからがんの薬が製造されました。カワラタケからつくられたクレスチンは、胃がんや大腸がんの化学療法との併用により生存期間の延長が、小細胞肺がんに対しては化学療法との併用で奏効期間の延長が得られたとして市販されてきました。しかし、2017年に製造販売中止となっています。

 また、シイタケからつくられたレンチナンという薬剤(静脈注射)は、テガフールという抗がん剤(経口投与)との併用で生存期間の延長効果があるとされてきましたが18年に販売中止となっています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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