アスリートの快眠術

安打製造機・内川聖一さんが語る睡眠 30歳を過ぎた頃に気付いた「思考の転換、自己暗示」

内川聖一氏(40歳、元プロ野球選手)/(C)日刊ゲンダイ

 もともと、睡眠に悩みを抱えるタイプではありませんでした。幸か不幸かお酒はそれほど量を飲む方ではない。二日酔いとも無縁。それでも、試合での興奮がなかなか冷めず、寝つきが悪くなりました。試合後、帰宅前に球場でサウナに入って汗を出し切ったり、外食後に自宅やホテルの部屋に戻ってゆっくりとぬるめのお湯につかったり……。

 目への影響を考えて、ベッドに入ったらスマホは見ませんが、ユーチューブでヒーリング系の音楽を探して、子守歌代わりにかけていたこともあります。川のせせらぎやたき火、山の木々が揺れる音などさまざま試しましたが、僕の場合は最も気持ちが落ち着いたのが雨の音でした。

 なんでだろう……と考えて、ハッと思い当たりました。子どもの頃から野球漬けの毎日。父が高校野球の監督を務めていたこともあって、家の中でも話題の中心は野球でした。もちろん楽しくて続けた野球ですが、日々の練習がしんどいなと思うこともありました。寝床に入り、明日も練習か……と憂鬱になっていると、窓の外から雨の音が。練習が中止になるかも、とホッとしたものです。スマホから聞こえる雨の音で気持ちが穏やかになるのはそのためか、と思わず笑ってしまいました。

2 / 4 ページ

関連記事