具体的には、これまで難なく描けた図形を描けなくなる。手指の形を真似できなくなる。運転で道に迷う。よく知っている場所で道に迷う。服を着ようとしても、服の認知はできているが、腕を袖に通せない。左右・上下を逆に着てしまう。
認知症のスクリーニング検査のひとつに、検査者が手でハトやキツネの形をし、それを真似してもらう方法があります。認知症でなければ簡単に真似できますが、視空間認知障害があると、これができなくなります。
遂行機能障害は、簡単に言うと、物事を段取りよく進められなくなること。「料理好きだった母親が認知症で料理をしなくなった」という話をよく聞きますが、「料理をしなくなった」というより、遂行機能障害によって、「料理ができなくなった」可能性もあります。
ただし、いずれも「もともとはできた人ができなくなった」場合。ほとんど料理をしてこなかった人が、料理をしなくなったからといって、それは遂行機能障害ではありません。
第一人者が教える 認知症のすべて