今回の歯科医師国家試験(国試)合格率は、新卒者が77.3%、既卒者も含めて63.7%でした。新卒者合格率が90%を超えたところが3学部あったそうです。ただし新卒者の中には、留年生も含まれています。
歯学部は全国で国立11学部、公立1学部、私立17学部の合計29学部です。1985年度まで、入学定員は3380人でしたが、翌年から定員削減が始まり、2022年度入試では、2636人となっています。
虫歯予防の進歩や少子化・高齢化によって、治すべき歯の絶対数が減少したことが影響しています。歯科は病院のポストが限られているため、歯科医師の大半が開業を目指します。直近の調査で、全国の一般診療所(医科診療所)が約10万5000軒に対し、歯科診療所は約6万8000軒に達しています。競争激化のため、共倒れが懸念されているのです。
受験生の歯科離れも深刻です。とくに私立では、入試倍率が2倍に達しない学部が目立ってきました。「誰でも入れる」とは言い過ぎですが、偏差値が50以下のところも出てきています。2022年度は、そんな逆風が吹き荒れるなかでの国試でした。
国家資格合格率データを読む(3)歯科医師国家試験合格率
- 公開日:2023年04月06日
- 更新日:2023年04月06日
- by 永田宏
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。